鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
それから、あたしは絖覇とナトと共に、過去で知ってしまったことをムギに全てを話した。
話終わると、ムギは俯いていた。
たぶんムギは何かしらを知っていて、きっとそれを話してくれるんだと、あたしは信じていた。
それなのに、顔を上げたムギは、
「──そ、んな・・・・・・!」
真っ青な顔で、恐怖の色をその黄金の目に写していた。
え・・・・・・、ムギ?
ブルブルとその朱い唇は青紫になり、震えている。
身体も震えていた。
強い光を放っていたはずの瞳からは、その光が失われ、焦点が定まらない。
もしかして・・・・・・。
「知らなかった、の?」
ナトも絖覇も、そう思ったようだ。
ナトはムギの背中をしきりにさすり、どうにかなだめようとする。
けれど、ムギはこれ以上にないくらい、怯えてしまっていた。
「そんな・・・・・・番人が、謎の消失を、していた・・・・・・なんて・・・・・・っ」