鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
気づいた気持ち
「りん! 行ったぞ!」
「おっけ! ナト! お願い!」
「いっくよぉ~! えい!」
──ドゴォッッ!
砂埃が空高く舞い上がり、視界が埋め尽くされる。
けれど、こんなのは効かない。
「っは!」
──ビュオオォオ。
絖覇の手の平から生み出された風が、砂埃を一瞬にして晴らす。
すると、その奥にいた砂埃を出した本人──魔物があらわになった。
あたしは素早く駆け出すと、
「ゴメンなさいねっ!」
鈴を鳴らした。
途端に光の雨が空から降り注ぎ、辺りを光でベールのように覆い尽くしていく。
光が晴れたとき、魔物は浄化されていた。