鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「ほら、しっかり休め」



 このあっつい中、絖覇はご丁寧にタオルまで掛けてくれた。


 ありがたいんですが、あっついです。



「なんかしてほしいこととかないか?」



 なにか、してほしいもの・・・・・・?



「・・・・・・あつい」



「扇風機? まっかせて!」


 ナトが目を輝かせると、左手を横にスルリと流した。



──ヴォン。



 たちまち扇風機はその首を振り、周りに生温い風を送りはじめた。


 こういうとき、ナトの力は便利だね。


 触らなくても、操れちゃったりするし。



「他には? 他にはないのか?」



 役目をナトに取られたせいか、少し不機嫌そうになってしまった絖覇が食ってかかるようにしてあたしを覗き込む。


 他・・・・・・。


 それじゃ・・・・・・。




「ちょっとだけ・・・・・・絖覇と二人にしてほしい」



「俺と・・・・・・?」



 あたしはコクリと頷いた。




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