鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 溢れてきそうな涙を堪え、出来た少し不格好な朝ご飯をお父さんの待つテーブルへと運ぶ。


 新たにコーヒーを注いで、あたしも席に着いた。


 そして、朝食を済ませると制服に着替え、家を出た。


 
 すると、



「おーい、りーん!」



 絖覇のチャラい声が後ろから飛んできた。


──トクン・・・・・・。


 声を聞いただけで、胸が高鳴ってしまう。



「おはよう」


「おう、おはよう」



 走ってきた彼は、あたしの横に並んだ。



「今日は体調大丈夫か?


 昨日、部屋に連れてったらすぐ寝ちまったし」



「うん、大丈夫だよ」



 気をつけないと、声が震えてしまいそう。


 声にまで、絖覇が好きという感情が溢れ出てしまいそう。


 
「まあ、大丈夫ならいいや」



 そういって、彼はあたしの頭をポンポンと叩いた。


 ・・・・・・子供扱いね。


 確かに身長少し抜かされたけどさ。


 少しだけだよ!?


 歳も変わらないし・・・・・・。


 ああ、そうか。


 幼なじみとしての感情で、あたしと接している。


 
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