鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 どうしたの?


 すると、彼はあたしの背中と自分の手を壁に押し付けた。


 ・・・・・・また壁ドンだ。


 前されたときと、気持ちが違うため、鼓動がどんどん速く、速くなっていく。


 彼の顔を見上げると、絖覇はようやく口を開いた。



「さっきの、断ってきたから」



 断る・・・・・・?


 つまり、告白されてたの!?


 やはりおそるべしモテ男・・・・・・。



「どうして・・・・・・」


「──りんが、悲しそうな顔してたから。


 りんが、悲しそうにしてるのは、俺には堪えられねぇ・・・・・・」



 そういって、彼は悲しそうな顔をした。


 あたしが悲しそうにしてるのはイヤなんて・・・・・・。


 どうして?


 もしかして・・・・・・と、胸が高鳴る。


 あたしと、同じ気持ちなのかと、期待してしまう。



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