鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 熱い吐息が唇に当たり、あたしの唇さえもジンジンと熱く熱を持っていく。


 なに、するの・・・・・・。



「りん」


 
 そんな熱っぽい声で呼ばないで。


 バカなあたしは、勘違いしてしまうから。



「りん、俺は・・・・・・」



「え?」



 彼が何か言いかけたとき。



──キーンコーンカーンコーン・・・・・・。




 予鈴が静かな教室に鳴り響いた。


 それと同時に、ハッと現実に戻った。


 ヤバい、授業遅れちゃう・・・・・・!


 慌てて絖覇を押しのけると、教室のドアに手をかけた。


 けれど、それは再び絖覇によって阻止される。



「なに? 急がないと授業、遅れちゃうよ!」



 振り向くとそこには絖覇の真剣な顔があった。


 マゼンタの瞳に見つめられ、何も言えなくなってしまう。



「りん、俺は・・・・・・!」



 そこまで言って、彼はブンブンと顔を激しく左右に振った。



「──どうしたの?」



 彼の顔に手を添え、見つめればわずかに絖覇は微笑んだ。



「──幼なじみだからじゃねぇよ。


 お前は“特別”だから・・・・・・」



 そう言うと、彼はあたしの頬を口づけた。



「っ!?」




「あはは、りん顔真っ赤。 可愛い」



 なによ!


 結局からかって!



 
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