鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「違う違う。
そんなんじゃない」
「じゃあ、何しに来たの?」
「えへへ~」
笑いながら、漫画を読む絖覇。
・・・・・・だから何なのよ。
「ちょっと、漫画読まずにこっち見て話しなさいっ!」
絖覇の手から漫画を奪い取って、テーブルに置く。
すると、絖覇はそのあたしの手を掴んだんだ。
「なんなの?
来た理由、言わないと返さないわよ」
「・・・・・・そうじゃない」
「え・・・・・・? っ、きゃっ」
絖覇の真剣な顔が見えたかと思うと、背中にソファの硬い感触がして、気付けば絖覇に押し倒されていた。
「・・・・・・ちょっとなにすんの?」
・・・・・・これって、世でいう『床ドン』というやつじゃない?
なにすんのよ、まさか、今読んでた漫画、少女漫画だった?
うわ・・・・・・。
何考えてるの?
「・・・・・・・・・・・・」
「絖覇、早くどいて」
彼は見たことのないような真剣な顔を浮かべて、あたしを見つめる。
さすがに、いつもの調子ではないことに気づいたあたしは、絖覇の胸板を押した。