鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
それを聞いた彼は、少し考え込むような仕種をする。
「誰か、心当たりあるの? お父さん」
「──ん、ああ。
最近アンゼリカたちに聞いた話なんだが・・・・・・まぁ、座れ」
そう促され、ソファーに腰掛ける。
「あいつらの話からすると・・・・・・りんもわかっていると思うが、最近魔物の出現率が高いんだ。
なぜだか、あちらの世界とこちらの世界を繋ぐ、魔物を封印する役目もある『扉』の押さえる力が、弱まってきているのが原因らしい。
それと同時に──俺達は『影の存在』と呼んでいるが、謎の人物がこちらの世界に現れるようになったんだ。
俺らは、その『影の存在』が魔物の暴走を強めていると睨んでいる」
お父さんの話に、呆気に取られてしまった。