鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 次の日──ゆっきーとロイルさんに連絡すると、二人は快く引き受けてくれた。



「りんちゃん、アンゼリカとかによろしく言っといて。


 あ、よければ伯(つかさ)連れていってほしいな~」



 ゆっきーは笑顔で、男の子の肩を押した。


 伯とは、ゆっきーたちの子供、あたしの従兄弟だ。


 今は中学2年生。


 育ち盛りの元気な男の子だ。



「りんちゃん、俺も連れていってよ。


 俺、天界行くの初めてなんだ!」
   


 もちろん二人の子供なので、霊力もある。


 だけど・・・・・・。



「ゆきな、これは遊びじゃないんだ。


 まだ霊力を使った実戦をしたことのない伯には酷じゃないか?


 とにかく危険だからやめとけ」



 Tシャツに動きやすいズボンという、ラフな格好のお父さんが低い声を出した。



「えー、でもぉ。


 伯も行きたがってるし、これがいい体験だと思うの」



 ゆっきーは駄々をこねる。


 あたしも、伯を連れていくのは危ないと思う。


 まだ、魔物も見たこともないはずだ。


 たぶん怖じけづいて、もし危険な状態に陥ったら・・・・・・。



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