鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 あたしはもう少しで背の抜かされそうな伯の肩を掴んだ。


 伯は賛成してもらえると思ったのか、無邪気な笑顔を見せる。



「ゴメンね、伯。


 連れていってあげたいけど・・・・・・危ないんだよ?


 遊びじゃないの。


 これは、命を懸けた、大事なことなの。


 伯はまだ、魔物を見たことがないでしょう・・・・・・?


 ゆっきーやロイルさんにも悪いけど、連れては・・・・・・」




 いけない。



 言えなかった。



 突然、口が何者かによって塞がれたから。



「ムググッ!?」



「別にいいんじゃないか?


 俺らが守ればいいんだから」



 軽い口調・・・・・・この声。



「ぷはっ・・・・・・! 絖覇・・・・・・」



 いつの間にいたのよ。


 彼は、あたしの口を両手で塞いでいた。



「どういうことよ」



「だーかーらー、そいつは俺らが守ればいいだろ?」



 ニヤニヤと何か考えている様子。


 ・・・・・・イヤな予感しかしない。

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