鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「・・・・・・でも・・・・・・!


 なにかあったらじゃ、遅いんだよ!?」



 慌てて絖覇の魔の手から逃れ、絖覇を睨む。


 あたしたちだけの問題じゃ、なくなってしまう。


 
「大丈夫だろ、ねぇ千さん!

  
 コイツにとっても、いい機会だと思いませんか?」



 どこかキラキラしている彼は、お父さんを見上げた。


 お父さんは難しい顔をしている。


 けれど・・・・・・。



「──いいだろう。


 今は、一刻を争うときなんだ。


 確かにいい経験になるだろう。


 しかし、伯」



 今度は伯の肩をお父さんが掴んだ。


 そして、その金の瞳で伯の顔を覗き込む。


 
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