鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 それからあたしはお母さんにした話と同じように、お父さんにも話した。



 お父さんは静かに話を聞いていて、しばらくなにかを考えているようだった。



 
「という話なんだけど、なにか知ってる?」




 お父さんは静かで動かない。




「千・・・・・・」



 珍しくお母さんがお父さんの名前を呼んだ。



 とても不安そうなお母さんを、お父さんは優しく抱き寄せる。



 ・・・・・・娘の前ですけど。



 でも、お母さんの不安さは、こちらにまで伝わって来るほど大きい。




 そして、お母さんと二、三言話し合うと、こちらを向いた。




「りん、お前には俺達の昔の話をしたことがないだろう」



 そうだけど・・・・・・。



 コクリと頷くと、お父さんは続きを話しはじめた。




「本当はお前には、言わないつもりでいた。


 なにせ、すずかの両親・・・・・・つまりりんのおじいちゃんとおばあちゃんも知らないことだからだ」




 おじいちゃんとおばあちゃんの知らないお父さんたちの過去・・・・・・。




「この話は長すぎて、というか複雑過ぎて言葉だけではうまく話せない。



 だから──」



 そういうと、お父さんは手を掲げて軽く降った。


 
「来てくれないか、ナト!」



 なと?



 
──ポン!



 
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