鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 角度を変えて、貪るようなキスに不思議と恐怖は感じなかった。


 ただ、感じたのは、

 
 どうしようもない『孤独』。


 拭いきれない『寂しさ』。


 何があったの?


 教えてよ、絖覇・・・・・・。


 自然と、涙が溢れた。



「っはぁ・・・・・・はぁ」



 ようやく唇が解放され、長い永遠のようなキスは終わった。


 初めてのキスにこんなのないでしょ!


 慣れていないあたしは、ぐったりと彼の胸に完全に身体を預けていた。


 急に押しかけてきて、抱きしめて、キスして・・・・・・。


 本当にどうしちゃったの?



「絖覇・・・・・・急にどうして・・・・・・」



 大理石の床に倒れたまま、あたしたちは月明かりに照らされながら、向かい合って寝っ転がっていた。


 今日の絖覇は明らかにおかしい。


 何か悩んでいるのなら・・・・・・あたしでもいいのなら、話を聞くよ?


 だから、一人で抱え込まないで・・・・・・。   


 そんな、儚く消えてしまいそうな表情しないで。




「りん・・・・・・」


「なに・・・・・・?」



 彼はようやくその重い口を開いてくれた。



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