鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
光が溢れ、破裂するとそこから人が現れた。
「呼びましたかぁ?」
「ああ、りん。
コイツはナトだ」
人のことだったのね。
でも、どっから現れたの?
そのあたしより5歳くらい小さな女の子は藤色の髪を二つに縛り、赤紫色の瞳をキラキラと輝かせている。
明らかに人じゃない。
それを見たお母さんは瞳を輝かせた。
「もしかして、ナディの子供のナト?」
「あなたが鈴姫さんですか?
わー!会いたかったです!
いつも母に話は聞いてました!」
ナトは嬉しそうにお母さんと話している。
知り合いなの?
しかも、ナトはお母さんのことを鈴姫と言った・・・・・・。
「すずか、ナト。
感動の再会を喜ぶのはいいが、本題に入らないといけない」
お父さんが低めの声を出したため、お母さんが拗ねたような表情をした。
「わかってるわ、ナト。
お願い」
「わかりました!
りんりん、準備はいいですか?」
り、りんりん?
あたしのこと?
ナトはパチンと指を鳴らした。
へ?へ?へ?
なになになに?
何が起こるの?
急に目の前が真っ暗になる。
意識が飛んで行きそうになる。
そんな中で、
『全てを知っても、驚かないで・・・・・・』
お母さんの悲痛な声が響いた気がした。