鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 光が溢れ、破裂するとそこから人が現れた。




「呼びましたかぁ?」



「ああ、りん。



 コイツはナトだ」



 人のことだったのね。



 でも、どっから現れたの?



 そのあたしより5歳くらい小さな女の子は藤色の髪を二つに縛り、赤紫色の瞳をキラキラと輝かせている。



 明らかに人じゃない。



 それを見たお母さんは瞳を輝かせた。




「もしかして、ナディの子供のナト?」




「あなたが鈴姫さんですか?

 わー!会いたかったです!

 いつも母に話は聞いてました!」



 ナトは嬉しそうにお母さんと話している。


 知り合いなの?


 しかも、ナトはお母さんのことを鈴姫と言った・・・・・・。




「すずか、ナト。



 感動の再会を喜ぶのはいいが、本題に入らないといけない」



 お父さんが低めの声を出したため、お母さんが拗ねたような表情をした。



「わかってるわ、ナト。



 お願い」




「わかりました!


 りんりん、準備はいいですか?」



 り、りんりん?


 あたしのこと?


 
 ナトはパチンと指を鳴らした。



 へ?へ?へ?


 なになになに?


 何が起こるの?



 急に目の前が真っ暗になる。



 意識が飛んで行きそうになる。



 そんな中で、




『全てを知っても、驚かないで・・・・・・』




 お母さんの悲痛な声が響いた気がした。





< 23 / 445 >

この作品をシェア

pagetop