鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
そのあと、あたしは結局眠れぬ夜を過ごした。
そのせいか、朝はいつもより1時間くらい早く起きてしまった。
着てきた服は洗ってもらってもう乾いていたから、それを着た。
髪をブラシで梳かし、使ったベッドもキレイに整えた。
そうして1時間が経過し、結局やることがなくなってしまう。
お城の中でも散歩しようかな。
朝ご飯まであと30分くらい残ってるし。
この島が雲より上にあるためか、空は真っ青に澄み渡っている。
太陽の光が窓から真っすぐ差し込み、床に窓の形を影で落としている。
あたしたちが泊まらせてもらっていたのは、お城の隣の塔〈離宮〉で、7階ほどもある高い塔だ。
そして、あたしたちは特別に7階に泊まらせてもらった。
この〈離宮〉も、〈琥珀の城〉にならって、クリーム色の壁に赤い屋根。
複数の大きさの違う窓が階段のように並んでいる。
窓にはガラスはなく、いつも心地好い風が通り抜けていた。