鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「あと、えと・・・・・・言いにくいのですが・・・・・・」
「うん?」
「私・・・・・・一応この国──天界の王女なんです」
「・・・・・・・・・・・・へぇええ!??」
思わず、素っ頓狂な声が出た。
王女ってことは、アンゼリカさんの娘?
ここにいても、当たり前じゃん!
「アンゼリカさんの娘・・・・・・なの? いや、なんですか?」
身分が違い過ぎるぅう!!
タメ口でいいかけて、慌てて敬語に言い直した。
「あわわわ、敬語とか、止めてください」
彼女も慌てはじめる。
二人であたふたしてる。
「あの、普通に話してください。
その方が嬉しいのです。
私は、一応こういう身分で、城から余り出ることが出来なくて・・・・・・。
だから、お友達もいなくて・・・・・・だから、お友達になってください!」
「ッッ!」
ガシッと手を掴まれ、強い瞳で見つめられた。
その瞳にウソは見えない。
「あたしなんかで、よかったら・・・・・・」
「っ! ありがとうございます」
結局、あたしが折れた。
「じゃあ、キキもタメ口でいいのに」
「いえ、私は昔からこういう口調なので、おきになさらず」
そういった彼女はキラキラしていて、何も言えなかった。
「そういえば、そろそろ朝食ですわね。
一緒に行きましょう、りん」
「うん」
嬉しそうなキキに手を引かれ、あたしは城の中へと向かった。