鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 朝食を取る部屋に向かうと、そこには幹部が揃っていた。


 
「皆さんおはようございます」



「あ、キキ王女、おはようございます」



 一番最初に気づいたのは、ナディーンさんだった。



「おはようございます、ナディーンさん。


 “王女”っていうの、止めてください」



 そう笑顔で、ビシリと返すキキ。


 きっと、何度もそういうやり取りがされたのだろう。


 ナディーンさんもキキも、笑顔だった。



「皆さんおはようございます。


 あら? キキとりんは友達だったの?」



 何人かの天使を従えていた女王──アンゼリカさんが食堂に姿を現す。


 そして、やけに長い机の一番はじに座った。


 彼女が座ったのを見た幹部たちは、次々と席に着く。


 あたしはキキに誘導され、隣に座らされた。


 ちらりと斜め前を見れば、お父さんと伯、絖覇の順で座っている。


 なんだかあんなことがあったからか、気まずくて絖覇の顔を直視出来なかった。



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