鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
そして、食事を終えると、あたしたちはまた、あの本棚で囲まれた部屋に通された。
「──さて。
もう帰る時間ね。
姫様も待っているはずだから、早く帰してあげないと、ね」
アンゼリカさんは、お父さんに意味ありげにウインクした。
うわお。
悩殺ウインク・・・・・・。
けれど、さすがはお父さん。
無表情で受け流した。
「世話になったな、何から何まで」
「いいの、いいの。 来てくれて嬉しかったわ。
それに、新しい真実・・・・・・というか、謎を知ることが出来たもの。
警戒するしか、他はないわね」
「ああ、俺はすずかは全力で守る」
「当たり前よ、そうしてもらわないと困りますわ」
お父さんとアンゼリカさんは挨拶を交わした。
「それじゃ、ありがとうな」
「何かあったら、連絡よろしくお願いします。
あ、忘れてた。 あの、これ」
アンゼリカさんが、ゴソゴソと机の引き出しの中から何かを取り出した。
それをお父さんの手の上に落とす。
それは、黒光りする、宝石のようなペンタグラムだった。