鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
疑い
『イヤだ、イヤだ・・・・・・!』
あれ?
誰かが叫んでる。
あたしの声じゃない。
あたしは、寝ているんだ。
じゃあ、この声は誰・・・・・・?
『苦しい、苦しい、苦しいっ・・・・・・!』
でも、あたしが叫んでるみたいだ。
あたしの意思じゃないのに・・・・・・。
あたしが、“誰か”になったようだ。
誰なの?
どうしてそんなに苦しんでいるの?
『このままじゃ、ダメなんだ。
このままじゃ、俺は・・・・・・!』
悲痛な想いが、ひしひしと伝わって来る。
『このままじゃ、俺は・・・・・・・・・・・・
俺ではなくなる・・・・・・!』
誰かがそう、叫んだ途端、あたしの意識もブツリと途切れた。