鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「そういえば、最近ムギと会ってるのか?」



 お父さんが明るい声を出す。


 あたしも現実に引き戻された。


 ムギ・・・・・・?


 そういえば、会ってないかも。



「ううん」



「・・・・・・そうか、なら過去へ行って会ってきたらどうだ?


 もしかすると、力が使えるようになっているかもしれない」



「・・・・・・そうだね、そうする! 


 なら、ナトと絖覇誘ってかなきゃ」



「あ、まて、りん!」



 外へ駆けだそうとしたあたしのことを、お父さんが突然止めた。


 なに?


 振り返れば、お父さんは真剣な顔。



「お前・・・・・・絖覇をどう思うか?」



「へぇっ!? いきなりなに?」



 まさか、付き合ってるのか?とか言われちゃう?


 違うから、あたしたちは別にっ・・・・・・!



「最近、というか昨日様子がおかしくなかったか?」



 ・・・・・・そうですよねー。


 そんなへんな質問するわけないよねー。


 それより、絖覇の様子がおかしい・・・・・・?



「どういうこと?」


 
 不安が胸を過ぎり、再びお父さんに駆け寄った。



< 240 / 445 >

この作品をシェア

pagetop