鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「そういえば、最近ムギと会ってるのか?」
お父さんが明るい声を出す。
あたしも現実に引き戻された。
ムギ・・・・・・?
そういえば、会ってないかも。
「ううん」
「・・・・・・そうか、なら過去へ行って会ってきたらどうだ?
もしかすると、力が使えるようになっているかもしれない」
「・・・・・・そうだね、そうする!
なら、ナトと絖覇誘ってかなきゃ」
「あ、まて、りん!」
外へ駆けだそうとしたあたしのことを、お父さんが突然止めた。
なに?
振り返れば、お父さんは真剣な顔。
「お前・・・・・・絖覇をどう思うか?」
「へぇっ!? いきなりなに?」
まさか、付き合ってるのか?とか言われちゃう?
違うから、あたしたちは別にっ・・・・・・!
「最近、というか昨日様子がおかしくなかったか?」
・・・・・・そうですよねー。
そんなへんな質問するわけないよねー。
それより、絖覇の様子がおかしい・・・・・・?
「どういうこと?」
不安が胸を過ぎり、再びお父さんに駆け寄った。