鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「いや、とくにこれといって目立つことはなかったが・・・・・・元気がなかったというか、よそよそしいように感じた」
元気が、なかった・・・・・・?
あの、絖覇が元気が無いなんてありえない。
もし、本当に落ち込んでいても誰にも弱みは見せないはずだ。
そんな、絖覇が・・・・・・?
「なにかあったのかもしれない。
気にかけてやってくれないか?」
お父さんは、ペンタグラムを握りしめながら言った。
「そんなの、言われなくても・・・・・・絖覇は大事な幼なじみだからね!」
「・・・・・・そうか、ならいい。
気をつけて行ってこい」
「うん!」
あたしは元気に頷くと、外へと駆け出した。
あ、伯も誘おうかな。
昨日仲間入りしたし、ここから近いしね~。
なんて鼻歌なんて歌いたがら、あたしはスキップしていた。
さっきのお父さんの言葉は、ウソだったと早くに気づけていたのなら、よかったのに。