鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 最初に、一番近い絖覇の家へと向かう。


 彼の家はあたしの家から数分もしない場所にある。


──ピーンポーン。


 インターホンをならして、彼が出てくるのを待った。


 あ、メールしたほうがいちいち出向かなくてよかった?


 ・・・・・・でも、会いたい。


 たとえわずかな時間だったとしても、一緒にいたい。


 まだかな~。


 ワクワクしながら、待つ。



──一分経過。


──二分経過。


──三分経過。




「だあぁあ! 遅い!」



 きっとまた徹夜でゲームでもしてたな?


 きっと絖覇のおじさんおばさんは仕事でいないと思う。


 えーい! 強行突破!


 あたしはガチャリと玄関を開け、勝手に家の中に侵入した。



< 242 / 445 >

この作品をシェア

pagetop