鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






 呼吸が、うまくできない。


 全てが、止まってしまったように感じた。


 時も風も空気も全て動きを止めて。


 鮮やかに色づいていた世界から、色が剥がれていく。


 どんどん、壊れていく。


 足もとさえも壊れて、立っているという感覚すらなくなった。


 これは、現実?


 さっき、絖覇が言ったのは本当?



『りんと会いたくねぇ』



 その言葉は、ナイフとなって心臓の奥深くまで突き刺さる。


 ズブズブと柄が見えなくなるほど、突き刺されて血が溢れて止まらない。


 どれだけ押さえても、止まってくれない。


 次第に、止血することも、出来なくなった。



「──そっか」



 あたしはまるで操り人形のように、彼の家を後にした。


 そのあとは、どうしたかよく覚えていない。


 過去へ行ったかどうかすらも・・・・・・。


 それほど、ショックだった。


 絖覇にあんなことを、言われるのが。




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