鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




 ぐりぐりと、双子の頭を撫でる。


 あれ?



「二人とも、背伸びた?」



 前までは胸の下くらいだったのに、今は肩くらいまである気がする。



「うん! 大きくなったでしょ!」



 その言葉に反応した曾爾は、嬉しそうに顔を上げた。


 大きくなったため、頭同士がぶつかりかけた。


 本当、大きくなった・・・・・・。



「本当に、大きくなったね。


 やっぱり子供は成長が早いわ」



 なんだか、温かい気持ちになって、思わず微笑んでいた。



「そういえば、今日はこう兄ちゃんは来ないの?」



 曾於が、キョトンとした顔で言う。


 ズキリとニブイ痛みが胸を過ぎり、思わず顔をしかめた。


 ナトが、青ざめた顔をしている。


 『いけないこと言っちゃったよぉ~!』と、いいたげだ。



「・・・・・・今日は、用事があるんだって。


 だから、来れないの」



 なんとか搾り出した声は、情けないことに震えていた。


 双子は、とくに疑った様子もなく、



「そっか、ざんねーん」



 と、ぼやいていた。




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