鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「でも、もう一人お兄ちゃん連れてきたよ」
そういうと、彼らは顔を輝かせる。
「どこどこ!?」
「あの人?」
曾於が指差したのは、もちろん伯だった。
「あ、お、俺?」
突然跳ね起きたように自分自身を指で指すと、あたしはそうだよ!という意味を込め、ブンブンと頭を上下に振った。
「こっち来なさい。
曾爾、曾於、紹介するね。
あたしの従兄弟、伯よ」
「つかさ・・・・・・?」
「じゃあ、つかさ兄ちゃんだね!
よろしく、つかさ兄ちゃん!」
曾於がお兄ちゃんと呼ぶと、一人っ子である伯は、たちまち嬉しそうな顔をした。