鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「でも、もう一人お兄ちゃん連れてきたよ」



 そういうと、彼らは顔を輝かせる。



「どこどこ!?」



「あの人?」



 曾於が指差したのは、もちろん伯だった。



「あ、お、俺?」



 突然跳ね起きたように自分自身を指で指すと、あたしはそうだよ!という意味を込め、ブンブンと頭を上下に振った。



「こっち来なさい。


 曾爾、曾於、紹介するね。


 あたしの従兄弟、伯よ」



「つかさ・・・・・・?」



「じゃあ、つかさ兄ちゃんだね!


 よろしく、つかさ兄ちゃん!」



 曾於がお兄ちゃんと呼ぶと、一人っ子である伯は、たちまち嬉しそうな顔をした。


 

< 250 / 445 >

この作品をシェア

pagetop