鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




──ブウン。


 
 ナトの力の音が聞こえたかと思った瞬間。


 目の前は、戦場だった。


 青の髪をなびかせ、雪華をふり、次々と魔物を浄化させていく曾爾。


 曾於は瞬間移動の力を使って目にも止まらぬ速さで移動すると、次々お札を魔物の身体に張った。


 雪と光が舞い上がる。


 そこだけ見れば、とても幻想的な世界。


 けれど現実は、魔物が数十匹うごめく、戦場だ。



「あたしも加勢する!」



 左手にブレスレットがあるのを確認すると、あたしも駆け出した。



「伯は、ナトから教わってて! ナト、お願い!」



「わかった!」



 ナトの返事が聞こえたかと思うと、あたしは右手に霊力を点した。


 さっさと片付けてやる!



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