鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「はぁっ!」




──ドドドドッッ!



 霊力が魔物の硬い身体にぶつかり、炸裂する。


 すると、その魔物はこちらを向いた。


 紅い目が、あたしを捉らえる。


 目標をこっちにした・・・・・・!



「グオオォオオッッッ!!」



──ズガァン!



「ッッ!」



 怒った魔物の手がしなり、あたしのわずか30センチのところにめりこんだ。


 パキパキと、木の折れる音がする。


 大木が一本、轟音を立てて倒れ込んだ。


 自然を、破壊している。


 それ以上、させないっ・・・・・・!



 (お願い、この魔物を浄化して・・・・・・!)


 鈴に霊力を込めて念じると、空から光の雨が降り注いだ。



「グ、グオアァア・・・・・・!」



 今あたしが戦っていた魔物の近くにいた数体の魔物は、巻き添えを喰らい、共に浄化された。


 一度に結構浄化できるようになったかも。


 成長してるのかな。


 戦闘中なのに嬉しくなってしまう。


 その時。



「りんちゃん、危ない!」



──ドドドドッッ!



 叫び声が聞こえて、背後で何かが爆発した。


 っ!


 パラパラと、巻き上げられた砂が身体に当たる。


 どうしたの?



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