鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「やぁ!」



───ガガッ!



 伯の手から噴出された紺色の霊力は、魔物の頭を集中的に狙われている。


 おお。


 狙いはいいんじゃないですか?


 しばらくすると、魔物はズズゥ・・・・・・ンと音を立て、大地にひっくり返った。



「あとはあたしに任せて!」



「えっ! なんで?」



「は?」



 まさか、そんなこと言われるとは思ってもみなかった。



「ナト、ちゃんと説明した?」



「あ・・・・・・」



 彼女を睨むと、しまったという顔をした。


 もう、本当ぬけてるんだから。


 あたしは伯と向き合った。
 


「ゴメンね、ナトがちゃんと言ってなかったみたいで・・・・・・。


 あのね、伯には魔物は攻撃出来ても、浄化は出来ないの。


 浄化出来るのは、あの双子の番人とあたしだけ。


 あたしも、お母さんからもらった力だから、実質自分自身の力じゃないんだけど・・・・・・。


 番人でないと、魔物は浄化できないの。


 わかった?」



「・・・・・・おう」



 なんだか納得していない様子だけど、伯は頷いた。



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