鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「絖覇・・・・・・!」
「りん・・・・・・」
確かに、目の前にいるのは、あたしの知っている、
椿 絖覇だった。
「なんでいるの? もしかして、魔物退治?」
ナトが、けっして明るくなどない、低い声を出す。
すごく、警戒してる。
あたしは、声すら出なかった。
たった数日間しか会わなかったのに、すごく懐かしく感じる。
そして──。
「あっ!」
それは・・・・・・!
絖覇の手に握られていたのは、お父さんが持っているはずの、黒いペンタグラムだった。
なんで、絖覇が・・・・・・。
ううん。
それより、目を疑うものがあった。
だって、そのペンタグラムは、怪しく、紅く、輝いていたから。