鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
あたしが見た真実はお母さんのいろいろな思いもこの身に刻み込んだ。
あたしも、お母さんにつられて泣いてしまった。
肩を震わせて泣くお母さんは、今までで見たことのないくらい弱々しくて、なんと言葉をかけていいのか、わからなくなってしまった。
代わりにお父さんが話をする。
「りん、お前が見た記憶通り、魔物は影の世界に封印されたはずだった。
しかし、なぜか今になって、この世界で暴れ出したんだ。
すずかはもう、鈴姫となることは出来ず、つまり魔物を倒すことができない。
──だから・・・・・・」
お父さんは、お母さんになにかいうと、お母さんは頷いてあたしにキラキラと光るブレスレットを渡した。
これは・・・・・・。
「なにも教えなくて、すまなかった。
このブレスレットについているこの鈴は『封印の鈴』といって、霊力を込めれば魔物を倒すことができる」
「あたしの代わりに、娘のりんにこんな危険なことはさせたくなかった。
でも、それしか方法がないの。
あなたは強いわ。
昔のあたしよりも、鈴姫よりも・・・・・・!」
彼女は力強い瞳であたしを見ると、ブレスレットをあたしの左手につけた。
「これは、あたしが鈴姫のときに魔物を封印するために使っていたわ。
りんに、願いを託すわ」
「ッッ!」
お母さんの過去を知った今、その言葉がズシリと心に落ちる。