鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
彼がいなくなった途端、ふにゃりとへたり込んでしまった。
「りんりん!」
慌てたナトが、支えてくれる。
「りん姉ちゃん・・・・・・」
「あの人、本当にこう兄ちゃんなの・・・・・・?」
伯が倒した魔物を浄化してくれた曾爾と曾於が、あたしの服を掴む。
その瞳が、不安げに揺らめいた。
「うん。 そうだよ」
ウソは、言ってはいけない。
真実を隠せば、さらに大変なことになる気がした。
「・・・・・・ッ!」
それでも、信じたくないのか、双子はぶんぶんと頭を左右に振った。
しょうがない。
急にあんなことが起きたら。
あたしだって、驚いてる。
気を許せば、涙が溢れてしまいそうなくらい。