鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
『絖覇・・・・・・!』
『あー、もう! 離れなさいよ!』
『ギャ━━━ッ! ヘンなとこ触るなっ!』
『行かないで・・・・・・』
幼なじみのりんだった。
いつも、傍にいて笑ってくれた。
俺の唯一の心の支えだった。
あの、笑顔を見る度、女神のせいで高ぶっていた悪意が抑えられて穏やかな気持ちにさせられた。
俺は、出会ったときから、りんを恋愛対象以外に見たことがなかった。
りんは、全く俺を好きになってくれる気配もなく、そして、誰かを好きになる気配もなかった。
つまり、恋愛などさらさらする気はなかったようだ。
まあ、そんな純粋さが好きなんだけどな。
だから、りんには悪いけど、いろいろ構ってやった。
そんなときのりんを想像して、フッと笑みがこぼれた。