鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





 再び、涙が滲んだ。




──ガチャリ。



「──りん」



 そのとき、部屋のドアが開いて、慌てて涙を拭った。



「・・・・・・なに?」



 部屋に来たのは、お父さんだった。


 きっと、ナトに話を聞いたのだろう。



「ちょっと、いいか?」



 そういうと彼は部屋に入り、ベッドの縁に腰掛けた。


 泣き顔を見られたくなくて、薄いタオルを頭の上まで伸ばす。



「・・・・・・話は聞いた。


 女神の欠片のペンタグラムが無くなったことに気づいたのは、ついさっきなんだ。


 それで、ナトに話を聞いてようやく合点がいった」



 お父さんは、こんなあたしを気遣かってくれているのか、静かに語る。



「・・・・・・こんなことを聞くのは、酷かも知れないが・・・・・・ついさっき、連絡が入った」



 お父さんの言葉に、ピクリと肩が反応する。


 連絡・・・・・・?


 なんの・・・・・・?




「──絖覇が、巡回していた天使に捕まった、という連絡だ」




 え───?


 頭の中が、真っ白になった。


 それでも、お父さんは話を続ける。




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