鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「魔物と話していたところを、魔物が出現したことに気づいた天使が見つけたそうだ。
今、天界に転送されたらしい」
そんな、絖覇が・・・・・・。
お父さんの話の最後の方は、耳に入ってこなかった。
ただ、どうしようもない絶望に晒されている。
どうしよう。
絖覇が捕まってしまった。
もしかすると、酷い仕打ちを受けるかもしれない。
もしくは、死刑が・・・・・・待っていたら。
大切な人を失ってまで、あたしは・・・・・・。
これから、魔物退治なんてしていけない。
ガバッと起き上がり、お父さんの肩を掴んだ。
彼は、少しギョッとした表情になる。
「お父さん! 絖覇は!?
これから、どうなるの?」
ゆさゆさと激しく揺さぶると、お父さんは「やめろ」と唸った。
けど、今はそれどころじゃない。
「処罰は、アンゼリカが天界の幹部たちと共に決める」
ようやくお父さんは、まだ揺れる視界をなんとか正し、言った。
アンゼリカさんたちが決める・・・・・・?
「それってやっぱり天界で!?」
「あ、ああ。
俺も一応出席しなければいけない」
「じゃあ、あたしも連れてって!」
お父さんが最後の言葉を言い終わる前に、あたしは食い気味で叫んだ。
絖覇は、何も悪いことしてない。
いくら、女神の移し身だからといって、絖覇自身が何かしたわけでもないじゃない!
だったら、あたしがなんとしてでも止めてみせる!
「でも・・・・・・」
困惑したように、眉をひそめるお父さんにあたしは頭を下げた。
「お願いっ、お父さん・・・・・・ッ!」