鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






「こっ、絖覇!」



 なんだよ。


 突然、上擦ったような声を出したりんは、立ち止まった。


 もちろん手をつないでいた俺も、自然と止まることになる。


 彼女を見つめるけど、彼女は顔を下げたまま。


 なんだ?



「さっきの、どういうこと?」



 さっき?


 わからなくて、首を傾げると、りんは顔を上げた。



「なんでわからないの!?


 さっき、絖覇が言ったじゃん!


 あたしと・・・・・・ずっと、一緒にいたい、って・・・・・・」



 最後のほうは、声が小さくなってしまい、ちゃんと聞き取れなかった。


 彼女の白い肌は、暗闇の中でも月夜に照らされ、赤く染まっていることに気がついてしまった。


 もしかして・・・・・・照れてる!?


 っ、やべぇ。


 涙で潤った大きな茶色の瞳。

 
 真っ赤に染まった朱い頬。


 小刻みに震えているその肩が、いつもより余計に愛しく感じてしまった。



「っえ!?」



 思わず、身体が動いてしまった。


 その華奢な身体を自分の腕の中に誘い入れた。


 一瞬戸惑ったような顔をしたりんだったが、おとなしく抱きしめられている。





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