鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





『あの・・・・・・あたしたちを呼んでいるのは、アンゼリカさん──女王陛下ですか?』



 なんだか、余りのカミングアウトに気が抜けてしまった。


 あんなことがあってから、誰が来るのか不安だったけど、なんか意外。


 あたしは気安く話しかけてしまう。


 なんか、雰囲気で話すように促されてしまう。




『はい。 アンったらいちいち俺に来させなくてもいいのに・・・・・・』




 今度はなんか、ぶちぶち言ってるし。


 しかも、今アンゼリカさんのことを“アン”と言った?


 親しいのかな・・・・・・?


 でも、取締役だし、そりゃそうか。



『そこに、千さんたちもいますよね?』



 絖覇がハッとしたような顔つきになり、天使さんに切羽詰まったように話しかける。


 絖覇・・・・・・?



『もちろん』



『っあ~・・・・・・ぜってぇ何か言われる』



 そう言って、頭を抱えてしまった。


 は・・・・・・?


 あたしと天使さんは、呆気に取られた。



『りん!』



『ひぇ!? なに!?』



 突然、絖覇があたしの手を掴むと、天使さんから離れた。



『ぜってぇ何も言うなよ』



『何が!?』



『・・・・・・だから、俺たちのことだよ・・・・・・』



『・・・・・・わかったわ』



 アンゼリカさんたち、きっと・・・・・・あたしたちがどうなったか聞こうとしてるっていいたいんだね・・・・・・!


 だって、アンゼリカさん、恋バナ大好きだもん・・・・・・!


 洗いざらい話すまで、帰してくれない!


 それを思うと、ブルリと背筋が震えた。


 帰してもらえても、言えるわけない。


 絖覇との、ことなんて・・・・・・!


 こ、告白とか!?


 そんなの言うのなんて恥でしかないじゃん!



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