鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




『──っ! それは・・・・・・!』



『それでもなお、そなたと同じ者を造れと言うのか!


 ・・・・・・確かに、そなたには一人が背負うにして、あまりにも重過ぎる運命を背負わせてしまった。


 それは、感謝してもしきれないようなほど、大変なことだ。


 そなたが、何を選ぼうとも、許そうと思っていた。


 けれど、これだけは・・・・・・許せない』



『わかってます、わかってます!


 でも、でも・・・・・・!


 もう、止められないんです!


 彼と共に、生きたいのです!』





 嵐のような会話のなか、二人の心は揺れていた。


 神様はムギの願いをなんとかして叶えられないものかと、考えて。


 ムギは、どうにかして両立していけないかと、思っていた。


 けれど、神様はふと、世界全体を見て、どちらを選ぶのが一番最良なのか、考えた。


 これでも、世界を造った神様である。


 自分のことを考えてはならず、世界を優先していた。


 
『本当にすまないが・・・・・・それは許すことはできない』



『そんな・・・・・・』



 ムギの瞳には、絶望が宿っていた。


 それでも、否定されることはまだ、わかっていた。


 自分自身の立場も、ちゃんとわかっていた。


 もちろん、彼の神としての立場も・・・・・・。



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