鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






「っ・・・・・・!」



 神様の話が終わったとき、誰もが口を開けなかった。


 あまりのムギの運命の残酷さに。


 哀しい、恋の結末に。


 けれど、最初に口を開いたのは、過去を思い出したムギだった。



「そんな・・・・・・!


 でも、それが本当ならおかしなところがありすぎるわ!


 世界は今、滅びてはいないし、私は力を使えている!」



 確かに、ムギの言うことはもっともだった。


 その言葉に、神様はシワのある顔をさらに歪めた。



「そうなんじゃ。

 
 ムギは、力を持っている。


 その、力こそが一番残酷な理由なんじゃ」



 力が、一番残酷な理由・・・・・・?


 まだ、哀しいことがムギにはあったというの・・・・・・?




< 317 / 445 >

この作品をシェア

pagetop