鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「っ・・・・・・!」
神様の話が終わったとき、誰もが口を開けなかった。
あまりのムギの運命の残酷さに。
哀しい、恋の結末に。
けれど、最初に口を開いたのは、過去を思い出したムギだった。
「そんな・・・・・・!
でも、それが本当ならおかしなところがありすぎるわ!
世界は今、滅びてはいないし、私は力を使えている!」
確かに、ムギの言うことはもっともだった。
その言葉に、神様はシワのある顔をさらに歪めた。
「そうなんじゃ。
ムギは、力を持っている。
その、力こそが一番残酷な理由なんじゃ」
力が、一番残酷な理由・・・・・・?
まだ、哀しいことがムギにはあったというの・・・・・・?