鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
残酷なその力
今までにないくらい、重苦しい空気が、あたしたちの間を流れていた。
もう外は、だいぶ気温が下がってきて、数匹の蜩(ひぐらし)が、静かに一日の終わりを告げていた。
話の前に用意したお茶に入っていた氷は、もうすっかり溶けきってしまって、コップの汗がテーブルにポタリと落ちた。
それと同時に、背中も汗をかきはじめていた。
シャツが、ピタリと背中に張り付いて気持ち悪い。
けれど、そんな冷や汗を忘れるほど、話の内容は大切なものだった。