鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「あのあと、ムギは精神が崩壊しかけて、わしがなんとかして眠らせることに成功したんだ。
しかし、ムギにはすぐに世界を守ってもらわなければならなかった。
また、影の世界に封印されていたはずの魔物が、こちらに侵入してきていたんじゃ」
ムギの力によって、魔物は影の世界に封じられていたんだ・・・・・・。
「でも、ムギの力は失われてしまったんですよね?
そんなムギに、魔物を封印しろなんてそんなムチャなこと、出来ないはずですよね」
「まあな」
あたしの質問に、神様は頷いた。
「では、どうしたというんだ?
一度失われた力は復活することはないのだろう?
世界を守る者など、聖なる力の持ち主は、一度その聖なる力に失望されてしまったら、もう二度とその力を授かることは出来ない。
それなのに、どうしたというんだ?」
ずっと黙って聞いていたお父さんが、眉をひそめた。