鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「それは──彰の力を奪ったんじゃ」



「え───?」



 心臓が、止まるかと思った。


 ムギを見れば、目を見開いたまま、動けないでいる。


 なによ、それ。


 力を奪ったって・・・・・・。



「最低じゃない! なにか神様よ!


 世界を守るためなら、誰かが犠牲になってもいいの?


 しかも、ムギの力を取り戻すために、その想い人から力を奪うなんて・・・・・・!


 最低の何者でもないじゃない!」



 気付けばあたしは、涙をこぼしながら、叫んでいた。


 神様だろうと、容赦しなかった。


 だって、あたしなら・・・・・・そんなの絶対堪えられないから。


 もし、あたしがムギの立場で、力を取り戻さなければいけなかったとしたら。


 力を奪う相手が絖覇だったら。


 いくら力を手に出来たとしても、あたしはきっと生きる希望をなくしてしまう。


 
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