鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~




「っう・・・・・・しょ、う・・・・・・!」



 ムギは嗚咽を漏らし、泣き崩れた。


 何度も彰さんの名前を繰り返して呼ぶ。


 今、ムギは彰さんを想って泣いている。


 きっと、自分自身を深く責めてしまうかもしれない。


 
「どう、してっ・・・・・・!」



「ムギ・・・・・・」



「泣くな、ムギ。


 泣くなんて、彰が可哀相だと思っているのか?


 そんなの、彰は望んではいないぞ」



「え・・・・・・?」



 神様の低い声に、ムギは涙でぐちゃぐちゃになった顔を上げた。



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