鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~






 お母さんが、眠りつづけているワケを、知っているの?


 やっぱり、何かあったんだ。


 ドクドクと、鼓動が速くなっていくのがわかる。


 お父さんの額には、うっすら汗が浮かんでいた。


 あたしも、手に汗が滲んできて慌てて服で拭き取った。



「すずかが眠りつづけている理由・・・・・・それは──さっきの話と関連しているんじゃ」



 神様が、ムギを見つめた。


 ムギが、「えっ」と小さく息を呑んだ。



「さっき、ムギは力を失い、彰から力を譲り受けたと言ったな?


 それと関係している。


 ムギは力を失ってしまった。


 彰から力をもらったものの、それは永遠に続くものではなかったんじゃ」



 え・・・・・・。


 つまり、ムギの彰さんからもらった力は、いつかは消えてしまうものだったの?


 
「えっと・・・・・・?

 
 それじゃ、結局ムギは力がなくなってしまうワケですよね?」



 そしたら、また矛盾が・・・・・・出来てしまう。


 神様は、頷いた。



「そうじゃ。


 つまり、ムギはまた力を奪ったんじゃ。



 他の番人たちから」




 え────?


 今度こそ、心臓が止まるかと思った。


 ムギが、他の番人たちから力を奪った──?



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