鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~





「っ、ひぐっ! ・・・・・・っく」



「りん・・・・・・」



 嗚咽が、つぐんだ口から漏れてきて、あたしはまた座り込んだ。


 絖覇が、あたしを抱き寄せる。


 いつもなら、ドキドキしてしまうけど・・・・・・。


 そんなことを、考えているヒマもなかった。


 ムギ・・・・・・。


 その時。


──ゾクリ。



「え・・・・・・?」



「なんだ・・・・・・これは・・・・・・!」



 絖覇が突然、緊張した声を出す。


 あたしも、ただならぬ空気を肌で感じた。


 背筋が凍りそうな、異様なものを感じた・・・・・・。


 これは・・・・・・?



「おい! 外を見ろ!


 これは、現実か・・・・・・?」


 
 お父さんの声に、全員が居間の大きな窓に駆け寄った。


 そして、息を呑んだ。



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