鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
なに、これ・・・・・・。
そこで、あたしたちが見たものとは。
この世の終わりのような、真っ暗な闇。
全てを飲み込んでしまいそうなほど、大きく空に広がったそれは、明らかに異常なもの。
「なにが、起こっているんだ・・・・・・?」
お父さんがポツリと、全員が思っていたことを口にした。
本当に、なにが、起こっているの?
状況が、うまく飲み込めない。
これは、現実・・・・・・?
まだ今は、夕方だったはず。
なのに、今は・・・・・・外は闇で覆われている。
そして、この鳥肌が立つような、異様な空気・・・・・・。
「っまさか!」
突然叫んだ神様に、全員の視線が集まった。
「ムギ!」
そう叫ぶなり、神様は瞬間移動でどこかへと消えてしまう。
今、神様は「ムギ!」って、叫んだ。
もしかして・・・・・・。
「ねぇっ! ムギの気配、感じない!?」
「っ!? まさか、そんなはずは・・・・・・あ!!」
意識を集中したお父さんが、顔色を変えた。
「これ、ムギの仕業だと言いたいのか、りん!」
眉をひそめた絖覇が、焦ったような声で言う。