鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「そんな、ことが・・・・・・」
「ムギが、そんなに大変な、運命を背負っていたなんて・・・・・・」
「二人とも、すぐに理解できないのはわかるが、今の状況を考えてくれないか?」
お父さんが、切羽詰まったように言った。
そうだ。
今は、魔物が現れたはずだから、そちらを優先しないと・・・・・・!
「ナト、魔物の数、だいたいどれくらいかわかる?」
「ん~、ちょっとまって・・・・・・」
ナトは、霊力を研ぎ澄まし、魔物の数を把握しようとする。
そして、ブルリと身体を震わせた。
「なに・・・・・・これ・・・・・・。
この数、尋常じゃない!」
「え?」
「だって、一度に・・・・・・」
「グオオオォォオッッ!!」
「──数千体だなんて・・・・・・!」
ナトの言葉の途中で、魔物の怒号が聞こえた。
結構近い・・・・・・!