鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「っあ・・・・・・!」
──ガッ!
「大丈夫か!? りん!」
「絖覇! ありがとう!」
魔物に飛ばされたあたしを支えてくれたのは、絖覇だった。
ちゃんと、立たせてもらうと、魔物を睨みつける。
「どうしよう!
なにか、案はない!?
この魔物の量だと、時間的にも間に合わないし、あたしとお父さんの霊力も持たない!」
「誰か、助けを呼ぶか?」
「でも・・・・・・誰を・・・・・・。
魔物を浄化できる人なんて・・・・・・」
アンゼリカさんや、ロイルさんたちには、もう来てもらうように連絡してあると、ナトは言っていた。
でも・・・・・・なんとかできないの・・・・・・?
あ・・・・・・!
いるじゃん、魔物を浄化できる、力強い戦力が!
「ナト!」
「なに!? りんりん、どうしたの!?」
あたしが叫ぶと、ナトは瞬時に反応し、あたしの目の前に瞬間移動してきた。
「あの人を、連れてきて・・・・・・!」
「っ、わかった!」
──ブゥン。
強く頷いたかと思うと、ナトは瞬間移動して、この場から消えた。
お願い、ナト・・・・・・!
頼んだからね・・・・・・!
あたしは再び、魔物との戦いに集中した。