鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
身体がダルくなってきて、フラリと身体が揺らいだ。
それを、支えてくれたのは、もちろんあたしの横で寄り添うようにして、魔物と戦っている絖覇。
絖覇は、霊力で攻撃するだけではなく、睨みつけるだけで、魔物を遠ざけた。
・・・・・・絖覇の中のわずかに残っている女神の威厳に怖じけづいてる・・・・・・?
いや、絖覇の睨みがとてつもなく怖いのだけれど。
近寄るなオーラがハンパない。
「大丈夫か、ムリをするな」
「でも・・・・・・魔物を倒さないと・・・・・・。
この町だけじゃない。
他の場所も──世界中が魔物で溢れてしまっているはず。
早くしないと、世界が崩壊してしまう・・・・・・!
っんぅ!?」
突然、絖覇の熱い唇に口を塞がれた。
「・・・・・・バーカ。
一人で背負い込もうとすんじゃねーよ」
な、な、何して・・・・・・!
しかも、バカって!
こんなときに、キスなんて・・・・・・!
絖覇の方こそバカじゃないの!?
「俺らが、いるだろ。
独りじゃ、ないんだから、俺を頼れよ」
低い声で、そう言うと、彼はあたしの頭を自分の胸へと引き寄せた。
優しく、優しく、頭を撫でられる。
それだけで、涙が溢れてしまう。
あたしはどうして、言われないとそんな大事なことに気づけないんだろう。