鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
「うん、うん・・・・・・!
ゴメンね・・・・・・ありがとう・・・・・・!」
「いいって」
ポンポンと、彼はあたしの頭を叩くと、再び魔物の方へと視線を移した。
その時、空の遠くがキラリと光った。
あれは・・・・・・。
複数の光が、こちらへと向かって飛んで来るのが見えた。
「りん! 絖覇! 千!」
「りん! 大丈夫ですかぁっ?」
「アンゼリカさん! キキ!
来てくれたの?」
その光は、数人の天使を従えた、アンゼリカさんとキキだった。
二人の背には、天使のような純白の翼が生えている。
それを大きく羽ばたかせ、あたしたちの真上に留まった。
「話は聞きました。
先ほど見てきましたが、やはり、影の世界とこちらの世界を繋ぐ『扉』が破壊されていました。
というより、魔物がこちらの世界に出てこられないように『扉』にかけられていたまじないが、キレイさっぱり消えていたの」
アンゼリカさんが、深刻な顔でそういった。
まじないが、消えていた・・・・・・?
もしかして、それもムギが・・・・・・?