鈴姫戦記 ~ふたつの悲しい恋物語~
最後の奇跡のチカラ
この世界は今、時間が完全に止まってしまったようだった。
道を歩いていた町民はもちろん、目を懲らしてようやく見えるほどの雲さえも、動いていない。
青く変色してしまった見慣れたはずの世界は不思議と、不安と恐怖を駆り立てた。
でも、あたしが怯えて動けなくなってしまわないのは・・・・・・。
あたしの手を握り、共にムギのもとへと向かってくれている、絖覇のおかげだ。
あたし一人だけだったら・・・・・・きっと、ムギのもとへと行こうとしようとも思えなかっただろう。